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~目次~

 

1.業務委託契約とは?
2.業務委託契約において注意する法律とは?
3.会社が個人と業務委託契約を締結する上で注意するポイントとは?
4.労働者派遣契約との違いとは?
5.業務委託契約の3大契約とは?

6.【具体例①】システム開発委託契約
6-1.委託業務の範囲/スケジュール
 -2.システムの権利帰属(1)
 -3.システムの権利帰属(2)
 -4.システムの権利帰属(3)
 -5.システムの権利帰属(4)
 -6.システムの仕様
 -7.システムの納期、受入検査
 -8.システムの瑕疵担保
 -9.第三者からの知的財産権の侵害申立て
 -10. 再委託の可否
 -11. 債務不履行時の損害賠償額の上限
    -12. 支払方法/価格



7.【具体例②】コンサルティング契約
7-1.委託業務の範囲/スケジュール
 -2.委託業務の対価/費用負担
 -3.業務報告/レポート
 -4.競業避止義務
 -5.再委託の可否

8.【具体例③】OEM契約
8-1.製造する製品の特定
 -2.金型、製造器具、原材料の用意/調達
 -3.発注量/供給量の年間スケジュール
 -4.個別契約
 -5.支払方法/価格
 -6.製品及び梱包等に表示するブランド(商標、商号等)
 -7.知的財産権/第三者からの権利侵害の申立て
 -8.改良技術
 -9.納入/受入検査
 -10.品質管理、瑕疵担保責任
 -11.補修用部品/アフターサービス
 -12. 製造物責任
   -13. 仕様の変更
 -14.再委託の可否
 -15.競業禁止
 -16. 製造の中止/個別契約の解除
 -17. 契約終了後の取扱い
 -18. 債務不履行時の損害賠償額の上限

業務委託契約とは?

 業務委託契約とは、

社内で行えない業務を、外部の会社や個人に委託する契約を言います。



業務委託により、社内にその業務を行える人員がいない場合でも、
新たなビジネスを展開することができるため、人件費の削減、
新規事業の立ち上げコストの削減等を効率的に行いながらビジネスを
成長・発展するための非常に有効な手段です。

遠藤も過去、1000件以上の業務提携契約サポートに携わって来ましたが
業務委託契約の数が一番多かったです。


よくお客様に、「請負契約ではないのですか?」と聞かれますが、それも
正しいです。

請負契約は、民法第632条により、「当事者の一方がある仕事を完成
することを約し、相手方がその仕事の結果に対して報酬を支払うもの」
と規定されており、例えばビルを建築するとか、絵を描くとか、何か物事
を完成させる意味で良く使われます。

 

実際の契約では、単なる業務委託請負の2つの要素が入っているケース
が多いので、あまり業務委託と請負について厳密に気にする必要はない
です。

業務委託契約を締結するうえで注意する法律とは?

業務委託契約に関しては、注意すべき法律があります。
相手が力の弱い、個人事業主や下請け業者の場合、
それらを保護すべき強行規定の法律があるからです。

 

下記に簡単に紹介しますね。

 

◆下請代金支払遅延防止法(=下請法)

  親事業者と下請業者の資本金の額により、適用の有無が
  決まってきます。下記のケースでは適用になりますので、
  業務委託契約を検討する第一歩として、両当事者の資本金の
  額をチェックする!ということを必ず行いましょう。


  ①物品の製造・修理委託及び政令で定める情報成果物作成・
   役務提供委託に係る契約

   【親事業者】           【下請業者】
    3億円超        ⇒     3億円以下(個人事業主を含む)

    1000万円超3億以下 ⇒      1000万円以下(個人事業主を含む)

 

  ②情報成果物作成・役務提供委託に係る契約(政令で定めるものを除く)

   【親事業者】               【下請業者】
    5000万円超          ⇒    5000万円以下(個人事業主を含む)

    1000万超5000万円以下 ⇒       1000万円以下(個人事業主を含む)

 

      上記の要件に当てはまる親事業者は、下請代金の減額、下請代金の60日を
    超える支払期日の支払、製品の受領拒否、有償支給品等の対価の早期決済
   などの禁止をはじめとした、様々な制約を受けることになりますので注意が必要
   です。

 


   下請法の詳細情報はこちらのパンフレットがとてもわかりやすくできています。
   ↓ ↓ ↓ ↓

   http://www.jftc.go.jp/houdou/panfu.files/sitaukepamph.pdf

 

   このパンフレットで基本的な知識を身につけたら、後はご自身のビジネスの
   事例に合わせて相談窓口に電話するのが一番の近道です。無料で親切に
   教えてくれますので、遠慮せずに電話してみましょう。


   ◆労働基準法及び労働省の告知

 

    これは、委託元が会社で委託先が、「個人事業主」であるケースで
    注意しなければならない法律および労働省の告知です。これに関して
    は次の記事でご説明いたします。

 

会社が個人と業務委託契約を締結する上で注意するポイントとは?

会社が外部の個人事業主に対して業務委託を行う場合、
外部の会社に対して行う場合と比較してかなり注意が必要になります。

 

「偽装請負」

という言葉を聞いたことはないでしょうか?

 

通常会社が人を雇うときは、下記のようなリスクとコストが発生します。

 

◆一度雇い入れるとすぐには解雇できず、解雇すると元従業員による
 訴訟や労働基準監督局への密告などのリスク

◆時間外、休日手当、年休などの付与などのコストが発生

◆労災保険、雇用保険、社会保険などのコストが発生


ところが、人を雇う代わりに外部の個人事業主に業務を委託する形に
したらどうでしょう?上記のリスクやコストは全てなくなります。


そこで、実質上は人を雇って指揮命令をして従業員のような使い方
をしているのにもかかわらず、名目上は業務委託契約の形を取る形
偽装請負といい、労働者保護の観点から大きな社会問題となりました。

個人事業主は、会社(依頼者)からは独立した存在なのですから、
従業員のように会社(依頼者)から指揮命令されて業務を行うのは
おかしいですよね?

 

よって、個人事業主と業務委託契約を締結する会社は厚生省や労働
基準監督局から厳しくチェックされることになりますので、注意が必要に
なるのです。


最後に非常に簡略化してありますが、厚生省や労働基準監督局から
チェックされやすいポイントについて列記しますね。

◆業務の依頼/受託方法
  個々のプロジェクト毎に特定の業務が依頼され、受託者において
  受託可能な場合だけ受注すれば良いようになっているか?

◆業務遂行上の指揮監督
  業務の遂行方法について受託者に任されているか?

◆拘束性
  勤務場所や勤務時間に制限はないか?

◆業務提供の代替性
  本人に代わって他の者が労務を提供できる場合、補助者を
  使うことが認められているか?

◆報酬
  プロジェクトの対価、出来高払いか?
  月給、時間給ではないか?欠勤や残業などが支払額に影響
  していないか?

◆事業者性
  機械、器具、制服、経費を受託者が負担しているか?

◆専属制
  他社の業務について受注することが自由か?

◆その他
  採用選考過程、退職金制度などの適用はどうか?

労働者派遣契約との違いは?

会社が外部の個人の労働力を得る手段は他にもあります。
その一つが派遣会社による労働者派遣による方法です。

 

契約形態は下記のとおり。

個人事業主との契約と違い、会社は派遣会社と労働者派遣契約を

締結します。そして労働者は、完全に独立している事業者という訳
ではなく、派遣会社と雇用契約を締結しています。

但し、特徴的なのは、派遣される労働者は、派遣会社と派遣先間の
契約に基づき派遣先会社の指揮命令を受けると言う点です。

 

この場合も、偽装請負とみなされるリスクがありますので、労働者派遣
ではなく、請負と認められるためには、派遣先会社に向かう従業員に
対して派遣元の会社が業務の指示、評価、勤務管理などを行うように
なってなければなりません。

各チェックポイントの詳細な内容については、厚生労働省・都道府県
労働局が出している下記パンフレットで基本的知識をみにつけ、その後
ご自身がなさっているビジネスの形態に合わせて電話して聞いてしまう
のが一番確実ですので、ぜひ電話してみてくださいね。
↓ ↓ ↓ ↓
労働者派遣・請負を適正に 行うためのガイド
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11600000-Shokugyouanteikyoku/0000078287.pdf

 

業務委託契約の3大契約とは?

遠藤が今まで過去に手掛けた契約サポートのうち、
最も数が多いのが、業務委託契約です。

では、業務委託契約のうち最も数が多かったのは?

 

と聞かれれば・・・・・・

 

システム開発委託契約
コンサルティング契約
OEM契約

の3つです。

 

ちなみに、代理店契約も考えようによっては、「販売の業務委託契約」
と言えますが、ここでは割愛させていただきます。

ここでは簡単に3つの契約の特徴についてご説明して行きます。



システム開発委託契約の特徴とは?
 

システム開発委託委託又はソフトウェア開発委託とは、あるコンピューター
システムの開発を委託者が受託者であるソフトウェア会社等に委託
することの総称です。

簡単なプログラムの作成のみを委託するような場合のものから、
ユーザの目的に合った仕様の確定からシステム構築更には完成後
の運用支援まで委託するようなものまで様々です。

 

コンサルティング契約の特徴とは?

コンサルタント契約、顧問契約といった名称のもとに締結されます。

前述のシステム開発等もコンサルティング的な内容を含むことが
多いですし、弁護士や証券アナリストその他専門的職業人から
なされるアドバイス等もコンサルティング契約に基づくものがあります。

業務の内容としては、請負的な一定の仕事を完成させるというものは
少なく、法的な性格としては単にある業務を委託する、「委任」または「準委任」
の場合が多いようです。


OEM契約の特徴とは?

 

OEM(Original Equipment Manufacture)契約とは、一般的に
「買主が自社の仕様に基づいて、自社のブランドを付した製品の
 製造を委託する旨を、売主である製造業者と約した契約」ということ
が言えます。


買主としては、一定水準以上の技術を有する製造業者にその製造
および供給を依頼することによって、新規投資を回避し、かつ製造業者
の安いコストを利用できると言うメリットがあります。

 

逆に売主としては、製品販売のリスク・コストがなく大量の注文を一定期間
期待でき、かつ買主からの技術情報等の開示を受けることで、自社の技術
水準の向上を図ることができる、というメリットがあります。

また、OEMと似たような概念でODM(Original Design Manufacture)
というものもあります。これはOEMが生産者が発注元のブランド名で生産
するだけなのに対し、ODMは製品の生産だけでなく、設計から手掛ける
で主に、台湾や中国などの企業に多くみられます。


下記にOEM契約を締結する更に具体的な理由を列記しておきますね。


・買主のブランド(社名、商標)が有名
・買主に新規に設備投資が必要になってしまう
・売主(製造業者)の技術水準が、買主と同等以上又は売主の製造中の
 製品が買主の販売戦略と合致している
・売主の製造コストが安い
・技術情報の秘密保持や商標の取扱いについて当事者間に十分な
 信頼関係がある
・製品の市場価値の観点から、製品の製造販売期間に一定の限度がある

 

システム開発委託契約:委託業務の範囲/スケジュール

ここが一番、重要な点と言っても良いでしょう。

委託者と受託者との間で、どのようなソフトウェア/ハードウェア
について取り決めをし、どのような機能があるのか?等について
詳細に取り決めをします。


普通であれば、その仕様書を契約書の別紙として添付するのが
ベストです。


またスケジュールに関しても、何をいつまでにやるのか?を詳細に
決めておき、同様に別紙として契約書に添付するのがベストです。

他には、納期両当事者の役割分担なども明確に規定しておきたい
ところです。


今まで、遠藤が担当した中小企業のお客様はここの部分がいい加減
なパターンが非常に多いです。具体的な仕様が決まっていないにも
かかわらず、支払う対価の額だけが決まっている、というようなケース
がほとんどでした。

 

どんなシステムができようと、予算がないと支払をすることができない、
という事情はよくあることですが、やはり「何を」「いつまでに」が先に
決まってから初めて、「いくら」が決まってくる訳ですから、できるだけ
その原則通りにしたいものです。

契約締結前にやむを得ず明確にできなかったときは、「何が明確化
されていないのか?」「どのように明確化するか?」「いつまでに決定
するか?」だけでも当事者間で決めておく必要があります。

 

◆条文例◆
甲および乙は、本システムの構成、機能および各モジュールの数ならびに
各工程ないし作業ごとの作成費およびその総額ならびに作業スケジュール
(中間報告日を含む)および作成時間または納期等を協議のうえ決定し
同決定事項を記載した仕様書を作成する。

システム開発委託契約:システムの権利の帰属(1)

開発されたプログラム/システムの権利者は誰か?
というポイントは多くのトラブルの元になっています。

 

ここで問題になる権利で最も重要なのは、「著作権」です。

 

委託者の多くは、「お金を支払ってプログラムの開発を委託した
のだから、その成果物の権利は当然自分たちのものである。」
と誤解していることが多いです。

ところが著作権法上は、受託会社の従業員が開発したプログラム
は、原始的には受託会社に帰属することになり、委託会社の対価
の支払の有無で左右できるものではありません。

従って、もし委託会社が成果物に関する著作権を全て自分のもの
にしたいのであれば、契約書上は受託会社から譲渡されたという
ことが明確に規定されている必要があります。

単に使用・複製したいときだけでもやはり、受託会社から使用許諾を
受けるということを契約書上に規定する必要があるので注意しましょう。

 

※更に細かい注意点があります!

 

それは「二次的著作物」の存在です。

 

★二次的著作物とは?

  著作物を、翻訳、編曲、変形、脚色、映画化その他翻案した
  ことにより創作された著作物のことを言います。

プログラムではありませんが、わかりやすい例では、
日本語の小説が、「著作物」であるとするとそれを英語に翻訳した
ものは、「二次的著作物」となります。


そして、二次的著作物と著作物の創作者が異なる場合、
二次的著作物を利用したい者は、二次的著作物の著作者と
著作物の著作者の両方の許諾を受けなければなりません。

著作権法では、以下のように定めています。

第27条
  著作物を翻訳、編曲、変形し、又は、脚色、映画化、その他
  翻案する権利(=二次的著作物を創作する権利)

第28条
  二次的著作物を利用したい者は、二次的著作物の著作者と
  著作物の著作者の両方の許諾を受けなければならない旨を
  規定


前置きが長くなりました。

上記を踏まえて、業務委託契約書上でどのような問題が起こるか
についてご説明します。


著作権法では、以下のような規定があります。

第61条第2項
 著作権を譲渡する契約において、二次的著作物に関する権利
 (=二次的著作物を創作する権利+二次的著作物を利用する権利
 が譲渡の目的として特に明記されていないときは、譲渡の対象で
 ないと推定する。


つまりですね・・・

たとえ契約書上に、

***************************************************
×受託者は委託者に対し、本プログラムに関する全ての著作権を譲渡する。
***************************************************


と書いても、上記の第27条および第28条の二次的著作物に係る権利は
譲渡されない!ということなのです。


よってもし委託者が二次的著作物の権利も欲しいのであれば・・・・  

***************************************************
○受託者は委託者に対し、本プログラムに関する全ての
 著作権(著作権法第27条及び第28条に規定する権利を含む
 を譲渡する。
***************************************************

と契約書に記載しなければならないということになります。

委託者の立場からすれば、二次的著作物に係る権利は、通常であれば
欲しい権利であるケースが多いと思われますので、その場合は忘れずに
上記のように記述するようにすることが重要なポイントとなります。

システム開発委託契約:システムの権利の帰属(2)

仮に前述のとおり、成果物であるプログラムの著作権を
全て対価の支払者である、委託会社の譲渡するとしましょう。


ところが、話はそう単純ではないのです。


プログラムと一口に言っても、様々な構成モジュールに分かれており、
その中には受託会社または第三者の開発した汎用のルーチンやモジュール等
が入っていることがほとんどです。


従って、上記の受託会社が従前より有している汎用ルーチンや
モジュール等についての取り決めまで、明確に契約書上に規定して
おかないと後々おおきなトラブルになりますので、注意しましょう。

また、誰でも利用可能となっているフリーソフトウェア等の著作権が
システムに入っているケースもあります。これについては委託者/受託者
の間で著作権の帰属を決定できるようなものではありませんのでやはり
除外しておくべきです。

最後に受託者はシステムの開発完了後も当該システムを参考にしながら
他の開発に取り掛かることも考えられます。その場合、著作権法47条の3で
定める、「自ら当該著作物を電子計算機において利用するために必要と認められる
限度において」システムの複製または翻案を行えることを、受託者の立場だと
したら規定する事を検討することをお勧めします。

◆条文例

納入するシステムに関する著作権は、受託者または第三者が従前から
保有していた著作権および汎用的な利用が可能なプログラムの著作権を
除き、本件業務の対価が全て受託者に支払われたときに、委託者に帰属する
ものとする。但し、受託者はシステムに係る著作物の複製品を、著作権法
第47条の3に基づいて複製、翻案することができるものとする。

システム開発委託契約:システムの権利の帰属(3)

次に問題になるのは、「著作者人格権」の問題です。

著作者人格権とは、下記の3つの権利のことをいい著作物を
創作した著作者のみがもっている権利です。

・公表権:著作物を公表するかどうか決める権利
・氏名表示権:著作者の名前を著作物に表示するか否か決める権利
・同一性保持権:著作物の内容や題号を自分の意に反して改変されない権利

著作者人格権は、著作権と異なり、譲渡することはできないことに
なっていますので、委託会社にとって問題になるときは、「受託会社
は著作者人格権を成果物のプログラムについて行使しない」という
旨を規定を契約書上で定める必要があります。

システム開発委託契約:システムの権利の帰属(4)

最後にシステムの権利を委託者に帰属することを明確に
する場合の考え方についてご説明します。

まず、システムが著作物であった場合、契約書に著作権について
規定する条項がなかったとしても委託者がそのシステムを使用する
ことについて、受託者の黙示の許諾があると言えます。

しかし、

その後システムの中身を変更するなど当初のシステムに改変を
加えることはよくあることでかつ、受託者は自らに改変の委託が
来るであろうことの期待をしていると考えられることから改変に
ついても黙示の許諾があると言えないと考えられることから
もしそれを明確にし改変を委託者または第三者にさせないように
する必要があるという訳です。

◆条文例

1.受託者は、委託者がシステムを本契約に規定する目的のために
  使用することを許諾する。
2.受託者は、委託者がシステムの維持の目的でのみ改変することを
  許諾する。
3.委託者は、前項の目的以外でシステムを改変するときまたは第三者をして
  改変させるときは、受託者の書面による許可を得なければならない。
4.委託者は、受託者の書面による同意なしに本条に定める使用権/改変権を
  第三者に譲渡、移転または他の処分を行うことはできないものとする。

システム開発委託契約:システムの仕様

開発されたシステムが期待通りに「動かない」「遅い」というトラブルは
受託会社の故意・過失の場合もありますが、多くの場合はシステムの
仕様について事前に当事者間の十分な検討・話し合いがないことが
原因の場合が多いです。


遠藤は数多くのシステム開発委託契約をサポートしましたが、本当に
多くの場合このパターンです。そして不思議なことに対価だけは先に
決まっているのです。

中小企業にとって余裕がない、稼働がないというのは良く分かりますが
やはりここはしっかりと契約締結の時点では下記のポイントについて
両当事者でしっかりと決めておくべきと考えます。

◆システムの仕様はいずれの当事者が作成・決定・検収するか?
◆仕様変更についての時間的制限・費用負担
◆完成したシステムの検査基準
◆検査不合格時の対処方法

システム開発委託契約:システムの納期/受入検査

成果物がシステム/プログラムである場合、その納期や
受入検査基準は他の製品と違い、より高度で厳格なもの
でなければなりません。

システム/プログラムが会社の経営に与える影響を考えれば
当然です。

納期はいつにするのか?
受入検査基準はどのように決められ、どのような方式により
行うのか?まで、明確に定めて契約書上又は契約書別紙に規定する
ことが重要です。


なお、受託者の立場としては、「受入検査の期限」
規定しておくことも重要です。たとえば、

委託者はシステムの納品日から起算して●●日以内に
受入検査を行い、瑕疵があったときは受託者に通知する
ものとする。当該通知がなかった場合はシステムは
受入検査に合格したものとみなす。

と言った感じです。

受入検査の合格によって受託者による代金請求権が
発生したり、危険負担が移転したり、保証期間が開始したり
するように規定する場合が多いので明確にすることで大きな
メリットがあります。

前述の「仕様」とダブっても良いので、きちんと決めておきましょう。

システム開発委託契約:システムの契約不適合

システム/プログラムが委託会社に納品されても、それが
何の支障/トラブルもなく稼働することは稀です。

実際にシステムを稼働させて具体的な状況に合わせて様々な
調整や修正を施して完成度を高めていくということがほとんど
でしょう。

そこでシステム/プログラム納品後の不具合のうち、
どのような物を契約不適合の対象とするか?が重要なポイント
になってきます。

具体例としては、下記のような項目について詳細に決めていくこと
になります。

◆どんな場合に契約不適合が生じるか?
◆契約不適合責任又は損害賠償の範囲はどこまでか?
◆その手続はどのように行うか?

などについて十分に検討しましょう。

 

システム開発委託契約:第三者からの知的財産権侵害の申し立て

開発したシステム/プログラムに関して第三者から知的財産権侵害の
申立てを受けた場合の対処/責任についても規定しておきましょう。

委託会社から依頼されて新たに開発したモジュールと従前から受託会社
が有していた汎用ルーチン/モジュールの部分が混在していることが
ほとんどですので、それらの現状をよく加味したうえで両当事者の対処・
責任・協力・役割分担を規定します。

システム開発委託契約:再委託の可否

受託者が優秀な外注ソフトウェア会社を持っていて実質の
作業をそこにやらせているケースも多々あります。

従って、システム/プログラムの開発をそこに再委託しても
良いか否か?その範囲は?そして再委託を認めるのであれば
どのような制限・義務を受託会社が負うことになるかを規定します。
例えば、再委託前に必ず委託者の承認を得ることを規定する
場合があります。


逆に受託者とすればいちいち委託者の承認を得るのが
面倒なケースも多々あります。よって受託者の裁量で
自由に再委託できるように交渉することも多いです。

但しその場合は委託者から、「自由に再委託できる
代りに、もし再委託先の行為が原因で当社が損害を
負った場合(例:秘密漏えい等)は受託者が連帯責任を
負ってよね!」と要求されることが多いので、そこまで
責任を負えるかどうかはきちんと検討しておくべきでしょう。

システム開発委託契約:債務不履行時の損害賠償額の上限

開発されたシステム/プログラムをSaasやASPなどの形態で
委託会社が自己のユーザに提供して使用させるようなケースでは
システム障害が生じて多数のユーザに損害が生じることになり、
一つ間違えると受託会社の損害賠償金額が天文学的な数値に
なる危険性があります。

そのため、受託会社の立場としては最初からそのようなケースにおける
損害賠償額の上限を決めておくことで、受託会社がつぶれてしまうの
を防止することがあります。

損害賠償額の上限額設定の例としては・・・・


◆損害が発生した日から起算して過去1年間の間に委託会社から受託会社
 に支払われた合計額を上限とする

◆当該損害賠償が発生する要因となった個別契約の金額を上限とする

などの事例があります。

 

逆に委託会社の立場からすると、受託会社に支払われた合計額を
上限額とすると、一度も支払いがなされていない内に損害が
発生した場合は、一切損害賠償がなされない、ということも
あり得るので注意が必要となります。

 

システム開発委託契約:支払方法/価格

システム開発委託契約の対価の考え方ですが、一昔前までは、
単純に、開発に要した費用に受託会社の利益を上乗せして算出
するようなものがほとんどでした。

ところが、最近はスマートフォン等の対等により成果報酬型及び
ライセンス料のような対価の考え方が導入されるようになって
きました。

例えば・・・

①受託会社が開発したソフトウェアを委託会社のスマートフォンのアプリ
 として納品
②委託会社が販売したアプリの対価にある一定の割合を乗じてシステム
  開発委託契約の対価とする。

と言った感じです。

言わば、「システム開発委託契約」+「ライセンス契約」と言ったところです。

この内容の契約書だから、支払方法もこれ、というようには決まってこない
感じになってきたので、より広い視野で色々な契約書の良い所を活用する
ようにしたいものです。

 

コンサルティング契約:委託業務の範囲/スケジュール

コンサルティング契約の委託業務の範囲/スケジュールの考え方は
システム開発委託契約と全く同じです。詳細に決まっていればいるほど
トラブル回避にはなります。

但しシステム開発委託のような、はっきりとした成果物の形が定まっている
業務と比べて、コンサルティング契約は成果物がレポート程度になることが
多いです。

よって実務上は、委託業務の範囲も別紙にする程、詳細には決めず
臨機応変に変更できるよう、おおざっぱに規定しておく例も多いようです。

 

コンサルティング契約:対価/費用負担

コンサルティング契約の対価と費用については実に様々な
パターンがあります。どれを選択するかは、その場の状況に
応じて選択して行きます。

 

【対価】

下記のような例があります。

・月額定額制
・時間当たりのタイムチャージ
・業務ステージ毎に合意した金額を支払う
・着手金+成功報酬
・成功報酬のみ


【費用】

発生の都度、前払い、後払いなど。更には支払前に
委託者の承諾を得るパターンもあり。

また、金額に応じて上記の支払方法のいずれかを
選択して支払う方法もあります。

 

コンサルティング契約:報告/レポート

委託業務の内容によっては、調査のような性質を持つものも
数多くあります。

この場合、委託者にとってその報告/レポートおよびプレゼン
が重要になってきますので、報告/レポートに関して詳細に
規定した方が、(例:項目、レベル、納期等)「なんだあの使えない
レポートは!」ともめ事になるのを防ぐことができます。



また、この報告/レポートの知的財産権の帰属についてたまに
トラブルになることがあります。

委託者としては、対価を支払っているのですから全部譲渡を受けたい
ですし、競合他社には渡したくありません。

受託者としては、できれば同様な業務を他社から依頼されたときに
差し支えのない範囲で再利用を認めて欲しい所です。

ちなみに、上記ポイントについて契約書上、何も規定しないでおくと
報告書/レポートの著作権は原始的に著作者たる受託者に帰属
しますので、もし違う規定に委託者の方でしたいのであれば、忘れず
に規定しておきましょう。

 

コンサルティング契約:競業避止義務

委託者がコンサルティングを委託する際のビジネスの
ステージは、新規ビジネス、新市場等の調査・検討の段階
であることが多く、できれば競業他社にリードしたいケースが
ほとんどです。

 

よって依頼者としては、受託者に秘密保持義務を課すのは
もちろんのこと、同種の業務については他社から請け負わない
ようにしてもらいたいと考えます。

 

一方、受託者としてみればこのような条件はなかなか受け入れ難い
ものです。万が一受け入れるとしても、上記の「他社」をリストUPして
「このリストにある会社からは同種の業務について受けない」という
ように限定するよう交渉することが必要になります。

コンサルティング契約:再委託の可否

コンサルティング契約は原則として、受託者との信頼関係に
基づく委任/準委任的な性格の契約です。

法律上、委任/準委任に関しては再委託は認められないと
解すべきですが、例外的に認める場合は業務を限定して、
下請負的な業務に限定し、かつ委託者の事前に承認を必要と
すべきでしょう。

OEM契約:製造する製品の特定

OEM契約とは、他社の製造する製品に自社の商標/ロゴ等
をつけて製造・販売する契約のことを言いますが、具体的には
下記の2つのパターンがあります。

 

◆委託者が受託者に仕様書、図面、サンプル、金型等までを貸与し、
 そのとおりに受託者に製造させるケース

 

◆すでに受託者が製造・販売している製品を何等変更を加えずに、
  委託者が自己の商標/ロゴ等をつけて販売するケース

 

よって、「どんな製品を製造するのか?」についてまず詳細に契約書で
規定することが重要です。

一番確実なのは、その製品の仕様書等を契約書の別紙として添付し
その品名、型番、モデル番号、性能、品質、機能等で規定することです。

このように別紙で詳細に定めるやり方をしておけば、将来的に製品の
内容/数量等が変更になったときは、別紙を差替えするだけで対応
できるのでおススメです。


非常によく見る失敗例としては、ここの製品の定義/特定が甘い契約書です。

単に、「製品」とだけ規定してもそれがどんな性能をもち、どれだけ価値のある
ものがわからないですよね?

仕様等があまり定まっていないのにもかかわらず、OEM契約の対価だけが先に
決まっているというやり方をとっている企業が非常に多いですが、危険です。

製品については、契約締結前にできるだけ詳細に規定するということを
徹底しましょう!

OEM契約:金型、製造器具、原材料の用意/調達

OEM契約において、委託者が仕様、図面、サンプル等を受託者に
提供するだけでなく、その品質保持のために、金型、製造器具、
原材料まで提供するケースもありえます。


要は、「開発⇒設計⇒製造」の流れを1社ではなく2社で分業する
ようなイメージです。

従ってどのステージでどちらがその担当をするか?という役割分担が
契約書上で明確に規定され、きちんと両者で上記の開発から製造まで
の流れが全て網羅されるように、漏れがないようにすることが重要です。

この辺も、製造する製品によってはかなり複雑な役割分担になるケース
もあり得ますので、その場合は製品の特定同様に別紙に詳細に規定して
契約書に添付するやり方がベストでしょう。

OEM契約:発注量/供給量の年間スケジュール

年間どれくらいのOEM製品の製造の委託の見込があるか?
「Forecast=フォーキャスト」と呼ばれることもあります。


受託者の立場からすれば、製造のための設備を整えたり、
原材料を調達しなければならないケースが多いので、フォー
キャスト情報はとても重要です。

受託者の交渉力が強ければ、見込みではなく、「最低これだけ
発注しなさい!」と最低購入量の義務のように規定するケースも
あるでしょう。


また、「大体これくらいの数量を発注しますよ。でもあくまでも目安
ですからね。」と気休めのように規定するケースもあります。

また取引によっては、複雑な計算式により3ケ月前、2ケ月前、
1ケ月前などと次々とフォーキャストが変化し、ある一定数値
以上に増減した場合は、いずれの当事者が補償するなどと
かなり複雑に規定するケースもあります。

これは発注量が膨大になる、PC部品などの電子部品などに
よく見られるケースです。

いずれにしても、取扱う製品によっては大変重要な条項に
なりますので、工場/製造の担当者とよく打ち合わせて
契約書に規定するようにすることが重要です。

OEM契約:個別契約

OEM契約においても他の取引基本契約書や販売店契約同様に
個々の取引においては、注文書/注文請書等により、委託者と
受託者が個別契約を締結します。

個別契約についてOEM契約書上に規定するポイントは、
下記の4つです。

=============================
①個別契約で規定する項目は何か?
②どのような手続で個別契約が成立するか?
③いったん成立した個別契約は変更できるか?
④OEM契約と個別契約のどちらの規定が優先するか?
=============================

 


①個別契約で規定する項目は何か?

 大体下記のような項目をOEM契約書上に規定します。

 

 ・製品名
 ・数量
 ・納入価格
 ・納期
 ・納入場所
 ・引渡条件
 ・支払条件

②どのような手続で個別契約が成立するか?

 これは様々なパターンがあります。取引する製品や内容に応じて
 最適なものを選択しましょう。

 ・注文書/注文請書で規定の様式(契約書に添付)と取り交わす
 ・委託者が注文書を受託者に交付し、何らかの形で受託者が承認
 ・委託者が注文書を受託者に交付するだけ
 ・委託者が注文書を受託者に交付し、受託者は受領後3日以内に
  その諾否の回答をする。当該回答がないときは個別契約は注文書
  の内容通りに成立したものとみなす
 ・委託者が注文をメールで発信し、受託者がメールでその諾否を返信


③いったん成立した個別契約は変更できるか?

 仕様の変更、状況の変化により、いったん成立した個別契約を変更したく
 なるケースもあります。特に買主の方がそうです。

 ・そのような場合は変更できるのか?
 ・変更条件について両者協議もするのか?
 ・売主に損害が出る場合はどうするのか?

 等について規定します。


④OEM契約と個別契約のどちらの規定が優先するか?

 基本契約たるOEM契約と個別契約の規定が矛盾するときは、
 どちらを優先するか?についても明確に定めましょう。

 例えば下記のような考え方もあるでしょう。

 より柔軟に取引ごとに対応できるようにしたい
  ⇒個別契約優先

 OEM契約どおりの規定で全て取引したい。変更は認めない!
  ⇒OEM契約優先

 ケースbyケースで選択しますが、中小企業同士の取引は不測の
 事態が多いので、多くの場合「個別契約優先」としてフレキシブルに
 対応できるようにする会社が多いようです。

OEM契約:支払方法/価格

OEM契約における支払方法/価格に関しては、
この前にお伝えした、「個別契約」においてケースbyケース
で規定することが多いです。

しかしながら、全ての製品・取引において、「当社はこのやり方
以外では取引しません!」と、統一的に定める会社もあります。

特に大企業はその傾向が強いでしょう。

このような場合、「支払方法については月末締めの翌月末払い。
価格については、別紙の価格表による」などと個別契約任せに
せず、OEM契約の本文に規定することがあります。

全ての取引において、全て同じやり方の方にしたいときはこの
やり方の方が良いでしょう。

しかしながら、ケースbyケースで柔軟に対応したいときは
個別契約に定めるやり方が良いようです。

OEM契約:製品および梱包等に表示するブランド(商標/商号)

商標等の委託者のブランド表示はOEM契約の最も重要なポイントです。

具体的には以下の4つの項目について規定することが多いようです。

①商標等の態様、表示の方法

  どんな色、形、大きさの商標等をどんな場所にどのような方法で表示するか?
  について詳細に規定します。

    ◆どんな色、形、大きさの商標等を

   文章だけでは正確に言い表せないので、通常商標・ロゴマニュアルなどを
      契約書に添付して、実際に色、形、大きさ、表示方法などを具体例により、
   規定します。

  上記マニュアルが契約締結に間に合わないときは、「委託社の指定する態様及び
  方法等に従って商標等を製品及び梱包に表示する。」と規定するケースも実は
  非常に多いです。しかしこれは問題を先送りにしただけでトラブルの元ですので、
  できるだけ最初から用意しておくようにしましょう。


  ◆どんな場所にどのような方法で

   製品の梱包?、製品のどの部分?印字?刻印?シールを貼る?等々について
   細かく決めて行きます。

②商標等を付した製品を受託者又は第三者のために製造、販売、譲渡、その他処分
 することの禁止

③商標等又は類似商標の無断使用

④商標等の無断での登録出願の禁止

 

OEM契約:知的財産権侵害/第三者からのクレーム

OEM契約においては、委託者が受託者に対して仕様書その他の
技術情報を提供することがありますので、その帰属については
明確に規定が必要です。

委託者としては、受託者にその効力について争わないようにして
欲しいし、また勝手に出願などしないようにしてもらいたいです。

また、製品の製造に関しては逆に受託者が使用した技術が原因で
ブランド提供者である委託者が第三者から訴えられることがあります。

この場合は、当該訴えが仕様書等の委託者の指示やブランドとして
指定された商標等に対するものである場合を除いて、受託者の責任
となる旨を規定するケースが多いようです。

OEM契約:改良技術

OEM契約において、技術自体は契約の目的ではありませんが、
製造過程において、改良技術が生まれる可能性があります。


製品の特性にもよりますが、できれば契約時に改良技術の帰属
についても取り決めてしておいた方が良いです。

ついつい契約の重要な目的ではないので、「両者協議」としてしまい
がちですが、製品の特性、市場性、会社の技術管理方針などを
総合して検討すれば、大体の方向性は見えるのではないでしょうか?

「こうしなくてはならない!」という決まりは全くないですが、参考例と
して改良技術の取り決めの例を列記しておきますね。

◆両当事者で共同で開発した技術については、共有扱い
◆各当事者が単独で開発した技術については、開発当事者に帰属
◆受託者が単独して開発した技術に関しては直ちに委託者に通知し
 無償でライセンス許諾する
◆一方の当事者が開発した技術を他方の当事者が契約対象以外の
 自社製品に使用することを許諾する

 

OEM契約:納入/受入検査

納入・受入検査に関しては通常の取引基本契約と同様の
規定となり、OEM契約特有の条件と言う物はありません。

納入

・どのような納期でどのような場所にどのような形で納入するかは
 通常であれば、個別契約で規定するので、その規定に従うとだけ
 OEM契約上は規定します。

 個別契約で規定しない例としては、「委託者が定めた基準」とか
 「委託者と受託者が協議して定めた基準」などがありますが、
 あまり明確でないので、個別契約で規定するのが一番良いようです。

・納期までに受託者が納品できなかった場合にどのような対応をするか?
 記述します。委託者への通知義務+委託者の指示
に従う旨および
 遅延したことによる損害賠償の旨を規定して行きます。


■受入検査

・「製品の納品後、○○以内に受入検査を実施する。」と言うようにまず規定
 します。そして「受入検査後○○日以内に不合格の場合は、委託者は受託者
 に通知する。」というように規定します。

 上記の「○○日以内」を規定できるかどうかは、とても重要です。

 そして、受託者にとっては、「上記の要領で委託者からの通知がなかったときは
 納入した製品は受入検査に合格したものとみなす。」という趣旨を契約書に規定
 することが大きなポイントになります。

 なぜならば、受入検査の合格が、「瑕疵担保期間」、「所有権/危険負担の移転
 および「製品支払代金請求債権の発生の起算日になることが多いからです。

・受入検査に不合格だった場合は「数量不足分の納入」「瑕疵の修理」「代替品納入」
 「代金減額=特別採用」等のうちどの手段を受託者が講じるかを規定します。

 更に、瑕疵の修理等が終了したら、再受入検査を受ける旨も規定しておきましょう。

・受入検査に合格したからと言って、それは製品代金支払請求債権が発生したり
 所有権/危険負担が移転したりするだけで、その後製品使用中に瑕疵が発見
 された場合の瑕疵担保責任が免除されるものではないことを、念のために記述
 しておくことも委託者の立場から見れば重要かもしれません。

 

OEM契約:品質管理/契約不適合責任

OEM契約において、最終消費者等からのクレームは最初に
委託者に来るので、ブランドの信用力問題になります。

そこで、委託者としてはたとえ受入検査に製品が合格したと
してもある一定期間は保証期間/瑕疵担保期間を設けるように
したいものです。

どこまで細かく書くかはその製品・当事者間の取引内容によります
が検討ポイントとしては大体下記のとおりです。



期間はどのくらいか?

 民法では1年、商法では6ケ月と一応定められておりますが、これに
 踊らされてはなりません。ハッキリ言って全く無視!した方が良いです。

 取扱う製品によって全然違ってきますので必ず技術者、品質管理担当者、
 製造担当者の人達と打ち合わせして最適な保証期間を規定しましょう。

 
 それでは、最適な保証期間を設定できれば、その期間を過ぎたら
 受託者は完全に免責されるのか?


 と思いきやそうではないこともあります。


 例えば、市場に流通させた全製品のリコールをしなければならないような
 「重大な契約不適合」や「傾向的契約不適合」については契約不適合責任の期間経過後も
 依然として売主が責任を持つように定める場合もあります。


 車のエンジン、ブレーキの部品などは良い例では?


 つまり瑕疵担保/品質保証についてはほとんど技術的な要因でどうとでも
 変わって来るということです。

 従って、この瑕疵の要件についてOEM契約書に書ききれないほど細かい
 技術的な取り決めが必要なケースも製品によっては起こり得ます。

 そのような場合は、OEM契約の他に、「品質保証契約書」を委託者と受託者
 との間で締結して詳細に規定して行きます。

 このレベルまで来ると、「契約書」というより「技術仕様書」と言った感じですね。


◆補償内容は?

 契約不適合があったときの受託者による補償内容は、「代替品の納入」、「修理」、
 「代金減額=特別採用」などがあります。ここも製品によって何が一番良いのか
 が決まって来ますので、技術担当者との打ち合わせが不可欠です。

 また、前述のリコールのようなケースではもはや代替品の納入などの単純な
 補償だけでは済まされない場合も多いでしょう。この場合は、委託者がリコールに
 要した費用の負担も受託者の補償内容となってくるケースもあります。

 逆に受託者としてはできるだけ瑕疵担保責任を軽減することを検討したいところです。
 ポイントしては下記の2点が考えられます。

 1.受託者に帰責事由がある場合に限って瑕疵担保責任を負う。
 2.契約不適合が軽微なものであって過分の費用を要する場合には修正責任が
   ない旨を定める。

 上記1および2を採用できるか否かについては「受託した製品の性質に
 よって大きく異なる。」ので個別具体的に検討することが必要です。

 ちなみに2については民法第634条第1項に下記のような規定があります。

  仕事の目的物に瑕疵があるときは、注文者は請負人に対し、
  相当の期間を定めて、その契約不適合の修補を請求することができる。但し、
  契約不適合が重要でない場合において、その修補に過分の費用を要するときは、
  この限りでない。


◆委託者による受託者の立ち入り検査

 最も良いのは、契約不適合が発生する前に未然に防ぐことです。
 そのため、委託者が受託者の向上を立ち入り検査し、きちんと製品品質が守られて
 いるか検査する権利を契約書に規定することがあります。

 受託者にとってみれば、「面倒くさいな~」と思うかもしれませんが、
 この事前の立ち入り検査の条件を契約書に規定しておくことにより、
 良い緊張感を保ち、欠陥商品が発生するのを防ぐ効果があります。

 

OEM契約:補修用部品/アフターサービス

委託者としては、製品が納品された後もその補修用部品が
安定して供給されることが、重要な場合があります。

そのため、「受入検査完了後、○○年間は委託者に供給した
製品の交換・補修用の部品を製造し、保持しなければならない」
と規定することがあります。

この場合、委託者が購入した交換・補修用部品の納入や受入検査、
所有権や危険負担、代金支払、瑕疵担保責任に関しては、製品に
準ずる事が多いようです。

また、委託者は交換・補修用部品を受託者から購入し、自ら自己の
顧客に対してアフターサービスを行うこともあります。そのため、
アフターサービスに必要なマニュアル/技術資料/技術指導/部品表
などの提供を受託者に求めることもあります。

OEM契約:製造物責任

OEM契約の場合は、エンドユーザに生じた製造物責任上の
クレームは委託者にまずきます。そこで委託者としては、

・受託者が紛争解決のために協力すること
・エンドユーザに対して支払った賠償金を負担すること


などを要求します。

一方、受託者としては、

・エンドユーザに生じた損害が委託者の製品製造に係る指示
 に起因する場合は免責されること

を逆に要求します。


また、製造物責任に関してはPL保険や生産物賠償責任保険に加入
することが実務上とても大事です。委託者はもちろんのこと受託者も
加入することを検討した方が良いかもしれません。

なお、受託者としては製造物責任が生じた原因が委託者から提供された
仕様書や金型に起因する場合もあるので、全てのケースについて安易に
委託者から請求される事態は避けたいところです。

更には、製品の性質によっては「リコール」を行うケースもありますので
その場合はどのような対応をするのか規定しておくことも検討すべきです。
一般に、リコールは莫大な費用がかかりますので、一方の当事者のみが
負担するケースは少ないようです。


◆条文例:製造物責任

1.受託者は、本製品の欠陥による第三者の生命、身体または財産への
  侵害によって生じた損害につき第三者から委託者または受託者に
  対して請求がされる場合に備え、自己負担で生産物賠償責任保険に
  加入するものとする。なお、当該保険の付保の範囲については
  両当事者協議のうえ決定するものとする。
2.各当事者は、第三者から本製品に関してクレーム、請求等を受けた  
  場合、その旨を遅滞なく相手方に通知するものとする。この場合
  両当事者は当該クレーム、請求等への対処方法につき、協議のうえ
  決定するものとする。
3.各当事者は、前項に規定する第三者からのクレーム、請求等のうち
  第1項に規定する保険で補填されなかった部分が自らの責に帰すべき
  事由に基づく場合(本製品の仕様、金型に起因する場合には委託者の
  責めにきすべき事由に基づく場合に含める)には、当該クレーム、請求等
  への対応に関連して相手方に生じた一切の費用および損失を相手方に対して
  補填するものとする。
4.両当事者は、本製品に関して品質上の問題が発見された場合、直ちに相手方に
  通知するものとする。この場合、両当事者は本製品のリコール等の対策の
  必要性について協議し、当該対策をとることを決定した場合、その実施方法
  および費用負担について協議のうえ決定するものとする。

OEM契約:仕様の変更

委託者の事情や法令の変更またはモデルチェンジなどで
製品の仕様を変更する場合があります。

個別契約の変更で対応しても良いですが、やはり仕様の変更は
OEM契約において最も重要なポイントになりますので、独立した
一つの条文として、仕様の変更における両当事者の権利と義務
について明確にしておいた方が良いでしょう。

・委託者は何日前までに仕様の変更を受託者に通知しなければ
 ならないか?
・逆に受託者の方から仕様変更を申し出るようなケースはないか?
・仕様の変更により、製品の価格や納期などの変更はないか?

 

などについて検討をし、取り決めていきます。

OEM契約:再委託の可否

OEM契約においては受託者が業務の一部を更に下請けに
外注した方がよいケースもあります。よって下記のようなポイント
について両当事者で取り決めて行きます。


◆受託者が業務の再委託をする際は、委託者に下請業者の
 名称/住所等の情報を提供し、事前の了解を取ること。

◆下請業者がOEM契約の条件に違反し、委託者が損害を
 負ったときは、受託者が連帯責任を負うこと。

大体、上記の2点が規定されていれば安心かと思います。

OEM契約:競業禁止

委託者が受託者に対して、競業避止義務を課すことがあります。

委託者の競合他社との取引を禁止するという強いものから、
委託者以外の企業のために、本製品またはその類似品を
製造販売してはならない、とする比較的リーズナブルなものまで
色々な制限を課します。

この場合、念のために下記2つの法律に当該制限が抵触しないか
確認が必要です。



独占禁止法

 委託者が受託者に対して、一定の地域を割り当て地域外の顧客から
 の求めに応じた販売を制限することにより、商品の価格が維持される
 恐れがあれば、拘束条件付き取引として違法の可能性があります。

 また、委託者が市場における有力メーカー(シェア10%以上、又はその
 順位が上位3位以内)であると、これにより新規参入者や既存の競争者
 にとって代替え的な流通経路を容易に確保することができなくなる場合に
 公正競争阻害性を有し、違法となるとされています。


労働基準法

 「個人と業務委託契約を締結する際に注意するポイントとは?」でもご説明
 したとおり、受託者が個人の場合において、「他社の業務について受注する
 ことが自由か?」が偽装請負と見做されないためのポイントの一つとなります。

 よって、個人とのOEM契約を締結する際には十分な注意を払い、偽装請負と
 ならないように、不適切に競業避止義務を受託者に課さないよう、注意が必要
 です。


更には、受託者自身が本製品の改良製品を製造し、
委託者の競合他社への販売をすることもありますので
これを防ぐ必要があります。

一方、受託者としては上記の競業避止義務を課せられた場合
委託者に対して、「最低発注数量義務」を要求して来る可能性が
あります。


この場合においては義務を「努力目標」に変えるように交渉したり、
受託者の交渉力が強く、拒否できない場合は、
「最低発注数量義務違反によるペナルティ」について交渉する事が
考えられます。

◆最低発注数量義務違反のペナルティを定めた例

1.委託者が最低発注数量義務に違反したときは、
  受託者は委託者に対して委託者の当該事業年度における
  本製品の発注数量と最低発注数量の差に相当する代金相当額 
  の支払を請求することができる。
2.委託者が2年連続で最低発注数量義務違反を犯したときは
  受託者は本契約または個別契約を解除することができる。

OEM契約:製造中止/個別契約の解除

OEM製品の製造を継続できなくなり、製品の製造中止になるケース
がよくあります。これについては、委託者と受託者の各々の状況に分けて
契約書に記述するとわかりやすいでしょう。

 

【委託者】

委託者にしてみれば、欠陥製品や仕様に合致していない製品が市場に
出回ればそのブランドが傷つくことになります。よって下記のような場合は
製品の製造中止をさせ、すでに締結済みの個別契約も解除することを
要求するケースがあります。

◆製品に
明らかな欠陥がある
◆製品が委託者が提示した仕様書に従っていない

更には、製品に落ち度はなくても委託者の一方的な都合により製造中止
を受託者に申し入れたいケースもあります。但し、この場合はさすがに
製造中止により受託者が被る損害を賠償する旨を規定しないと受託者の
同意を得ることは難しいでしょう。

◆製品の販売が委託者にとって不利益であると委託者が判断したとき
 

【受託者】

逆に受託者の方でも、会社の方針や製造ラインの変更等でOEM製品の
製造中止をしたくなるときがあります。この場合は、大体下記のような
条件をOEM契約で規定します。

◆製造中止日から起算して何日前までに委託者に通知する義務があるか?
◆製造中止日以後、どれくらいの期間、補修部品等を保有するか?

委託者の立場からすれば、他にOEM製品の製造ができる受託者を探さなければ
ならない訳ですから、ここについては慎重に検討が必要になることでしょう。

 

OEM契約:契約終了後の取扱い

OEM契約が終了後の措置もとても重要です。
これに関しては委託者側から受託者に要求する条件が
ほとんどのようです。例えば下記のような規定を要求します。

◆受託者が保有している完成品の取扱い
  委託者が全数買い取るのか、または委託者の指示に従い
  受託者が廃棄するのか等の規定をします。


◆仕様書、図面、金型の返還
    委託者から受託者へ貸与した上記の書類/物品等の返還を
  求めます。なお、返還費用については受託者負担とすることが
  多いかと思いますが、委託者の責めに帰すべき事由により本契約が
  解除された場合には委託者が負担すべきと規定するケースもあります。

◆秘密情報の返還/廃棄
  互いに開示/提示しあった秘密情報の返還または開示者に指示
  により、廃棄処分をします。なお、「相手方の承諾を得て複製した物を含む」
  と念のために規定しておいた方が良いです。

◆契約終了前に締結済みの個別契約の取扱い
  いったん締結された個別契約は終了するまで有効か、それともOEM契約
  終了と同時に直ちに失効するのか?について決めて行きます。どちらに
  した方が良いかは、まさにケースbyケースでしょう。

◆受託者が契約終了に対して損害賠償請求できない旨の規定
  受託者としてみれば、設備投資を新たに行う場合もあるので、OEM契約が
  終了してしまうことによる、損害賠償請求を委託者に求めたくなるケースも
  よくあります。

  そこで、委託者としては、自己の契約違反等の要因による契約解除以外は
  契約終了後、受託者はいかなる補償も請求できない旨を念のため規定します。

OEM契約:債務不履行時の損害賠償額の予定

OEM契約に限らず、全ての業務委託契約においてこの条項が
最も受託者にとって重要なものの一つでしょう。


委託者のブランドで製品が市場に出れば、様々なリスクが想定され
たとえ、それが受託者の責に帰するものであっても、損害賠償額が
あまりに高いものであれば受託者としては許容できません。

そこで、下記のような規定を定めることにより、受託者の損害賠償額
の予定をし、受託者が安心してOEM契約を受託できるようにすること
もあります。

◆受託者の債務不履行による損害賠償額の上限額は、当該損害賠償
  の原因が生じた日から起算して、過去1年間の間に委託者が受託者
  に支払った対価の合計額を上限とする。

◆受託者の債務不履行による損害賠償額の上限額は、当該損害賠償が
   発生する要因となった個別契約の金額を上限とする。


逆に委託者の立場からすると、受託会社に支払われた合計額を
上限額とすると、一度も支払いがなされていない内に損害が
発生した場合は、一切損害賠償がなされない、ということも
あり得るので注意が必要となります。

 

さらに下記にように損害賠償の「範囲」を限定することも考えられます。

◆損害賠償の範囲は、現実に発生した直接かつ通常の損害のみとし、
 特別事情による損害、逸失利益についての損害および間接損害等は
 範囲外とする。

また、念のため委託者に起因して債務不履行となった場合は
下記のように適用外とすることも規定するがあります。

◆但し、当該債務不履行が委託者の故意または過失に起因する場合は
 本項の規定は適用しないものとする。

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